途上国から世界に通用するブランドをつくる「MOTHERHOUSE」

こんにちは!
環境プロモーションコーディネーターの竹田有里です。
とある日、元町商店街を散歩中、気になってフラーと吸い込まれるかのように入店したのがきっかけでした。
家に帰ってきたかのような居心地さやコンセプトが気に入り、少しずつアイテムを揃えるように…そのショップの名は…
 

MOTHERHOUSE

 

店舗数も増え、きっとどこかで目にしたり耳にしたりすることも多くなったと思います。

途上国の素材と職人の手仕事から生まれたバッグ、レザーグッズ、ジュエリー、アパレルの最新コレクションを展開するショップです。

ついつい店長の中島康裕さんと話し込んでしまったせっかくなのでそのお話をこのコラムでご紹介します!

 

MOTHERHOUSEが設立した背景には、デザイナーでもある代表の山口絵理子さんの驚くべき行動力にありました。

山口さんがバングラデシュを訪問した際に貧困や汚職といった現状を目の当たりにし、なんと、現地のBRAC大学院開発学部修士課程に入学したのです!

バングラデシュでの生活の中で、麻袋の大量生産を眼前にし、「より良いものを作りたい!技術と生産者に光を当てたい!」と現地で働く人たちの可能性を信じ、動き出したことがMOTHERHOUSEの誕生のきっかけになったそうです。

中島さんは、「途上国という枠組みのラベルだけで判断するのではなく、可能性を信じているから今のものづくりができている!」と確信しています。

現在は、牛革や麻の加工に取り組むバングラデシュだけでなく、ストールやニットを製造するネパール、また洋服を縫製するインド、さらにジュエリーを加工するインドネシア、スリランカ、ミャンマー(政情不安のため現在は入荷停止)でMOTHERHOUSEの商品を生産しています。

 

MOTHERHOUSEの製造方法にはこだわりがあるそうです!

多くの企業では途上国の工場でライン生産を取り入れていますが、MOTHERHOUSEではテーブル生産を導入しています。

各テーブルに4-5人の従業員とリーダーがいて、テーブルごとにバッグを1個作っているそう!

ライン生産では日々同じ作業しかできませんが、テーブル生産では、従業員1人でバッグを仕上げるための技術を習得でき、技術力の向上につながるのです。

コロナ禍で消費者の購買行動が抑制され、アパレル業者の破綻も相継ぎましたが、MOTHERHOUSEの現地工場では生産を止めず、レイオフ(解雇)もせず、稼働し続けたと言います。

バングラデシュでは、閉鎖する工場が多々ある中で、MOTHERHOUSEの工場で働く職人さんは「自分たちは継続して収入を得ることができて、お金を使うことができた。おかげでバイクを買い直せた」と報告があったそう!

 

     (”途上国から世界に通用するブランドをつくる”)

 

バングラデシュ自社工場の名前は、現地の言葉で「マトリゴール」。

英語のMOTHERHOUSEを意味します。

「ここにいれば、安心・安全を手に入れられる…!」

代表の山口さんは、「第二の家」という思いも掛け合わせ、会社名を「MOTHERHOUSE」と付けたのだそうです。

汚水への配慮、安定した工場経営、児童労働とは皆無な「マトリゴール」。

 

 

(元町店オリジナルのジュエリー!元町商店街の風物詩とも言えるお散歩を楽しむワンチャンをモチーフにしたネックレス!)

 

コロナが収束した今「マトリゴール」が進化しようとしています!

数億円をかけて、工場が新設!でもただの工場ではないのです。

医療サービスが手薄なバングラデシュで地域住民の方が利用できる医療施設が併設されます。

さらに日本の若手建築家とコラボして、ショップ、学校、従業員寮も併設し、地域の人々のコミュニティの場として生まれ変わるのです。

その名も「GREEN FACTORY」!

3~4年後の完成を目指して、計画を進めていきたいということです。

お客さんと職人さんが「顔の見える関係性」を築ける取り組みも!

コロナ前より、旅行会社HISとの取り組みで、お客さんを現地の工場に案内するツアーを展開。コロナが収束し渡航が容易になれば、また再開したいとしています。

 

 

(”「途上国」の言葉で一括りにされた場所にも素晴らしい資源と可能性があることを伝えたい”

その他、微笑みかけるようなフラップが特徴のレザーハンドバッグ「Emy」(エミー)は、選ばれし職人さんのみが仕立てられるバッグで、職人さんのサインも刻印されています。

中島さんは「プロダクトを通して顔の見える関係性をこれからも構築していきたい」と話します。

この日、多くのお客さんで賑わっていて、経営も順風満帆なように見えたのですが、課題もあると言います。

中島さん「コロナ禍で香港とパリの販売店が閉店し、海外は台湾とシンガポールのみです。コロナが落ち着いた今、”世界に通用するブランド”を確立していくため、本当に何が大切なのかを理解し、動くべき段階にある」と話します。

どうしても、「途上国での生産=Made in バングラデシュorインド…」というイメージが先行し、価格はリーズナブルだと思いがちです。

が、

実際、手に取ってみたり、使ってみたりすると、しっかりできている!途上国での生産というと、ファストファッションを思い浮かべてしまいますが、実はハイブランドもタグを見るとMade in途上国です。

中島さんは「MOTHERHOUSEもハイブランドと同じように、市場価値に見合う製品を職人さんと生み出していくことを今後も真摯にやり続けていきたい。その過程の中で、職人さんが自国で健全で豊かな生活を営めるよう還元し続けることが世界に通用するブランドをつくることにつながるのです!」と熱く語ってくれました。

さらに、MOTHERHOUSEではさらなるサスティナブルなプロジェクト「SOCIAL VINTAGE」を2020年に始動!

役目を終えたお客様のレザーバッグを回収し、小物やバッグへとリメイクする事業を展開しています。

作り手として、商品の終わりまで責任を持つモノづくりの取り組みを加速しています。

 

 

とても心温まるお話でした。

皆さんも途上国発のブランドの魅力に酔いしれてみてはいかがでしょうか。

 

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